ベトナム病院体験記(後編)---ベトナムの病院で日本人が実感したこと

2013年9月19日木曜日

---(前編より続く)---

原因不明の背中の腫れで病院に行くも、
なぜか「のど」からの感染と言われてしまったその翌日。


まだまだ不安な病院体験記


4日目:

いや、これはいかんでしょ。

ますます腫れは赤黒く、硬いしこりのようになって、痛くなっていきます。
なんだか、膿んでいるような...。
写真も撮ってありますが、もうさすがにグロ画像なので自重。


このころになると、原因不明に背中が痛いせいでとにかく憂鬱でした。

今度は別の病院に行ってみることにします。

次に紹介されたのは、ハノイファミリーメディカルプラクティス



今度こそ、原因が分かるだろうか...と不安な気持ちのままでドアを開けると、
受け付けには日本人スタッフやお医者さんがいて、日本語でも対応してくれました
日常生活では英語もまともに通じないこの国で、、
心細いときに母国語で話せるってすごいことだなーとかなり感動しました。



病院に入ってさっそく、スキンヘッド(私服)のドクターに見せると、
「あーこれは...。」といった反応で、膿を抜かれます。

これが痛い痛い。

傷口を抉られて絞られてる感じ

採血して、点滴を打ちました。

(※余談ですが、採血前に看護師さんが片言の日本語で
「ちょっと痛いにゃと言っていたのには、思わず噴き出してしまいました笑
ベトナム語だと、「にゃ」は確認のために使うので、
若い子からおばちゃんまで、「OKにゃ」「バイバイにゃ」とか言ってるのです。萌え。)



まさか、人生初の点滴をベトナムで受けるなんて、
こうなるまで思いもしませんでしたが...。

点滴を受けながら、日本人の女医さんの説明を聞きます。
前編でも書きましたが、なんでもないような傷にバイ菌が入って、
ベトナムの気温と湿度と相まって、膿んでしまったようです。

膿を出して傷口をきれいにしてから、
抗生物質を薬と点滴で入れて、治していくそう。

必ずしもここまで大変なことになるわけではなく、対応が早ければ内服でも治るとのこと。
私の場合は背中にできたので気付きにくく、
運が悪かったというか...T T




5日目:

この日も点滴。左腕には点滴針をお持ち帰り。
処方された抗生物質のせいか、湿疹がでてきました。

背中にはでっかい傷を抱え、
腕には採血の跡(看護師さんはいつも一発で血管に刺してくれないので、いくつも...。)と点滴針。
しまいには、体中に湿疹と、満身創痍でした。

毎日の傷の消毒は痛いし...。

ただ、

原因が分からないまま、なぜか背中が腫れて痛いのと、
原因が分かった上で、痛いのだと、
同じ痛いのでも感じ方が全く変わってきます。


改めて、健康な体を持つことの大切さと、
ちゃんと自分の体の状態を分かって、医師とちゃんとコミュニケーションを取って、
信頼できる関係性を築くことの大切さをを感じました。




そんなこんなで今に至る。


今:

現在、傷を抱えて10日目くらいです。

点滴の針は2日ほどで抜けて、
傷の消毒は2日に1回、
抗生物質とアレルギーの薬を毎日飲んでいます。

傷はかなり良くなって、痛みも少なくなりましたが、全治3週間ほどらしいです。

最近はなにより、薬のせいで
アルコールが飲めないことが辛い
というくらいには、回復してます。笑


ベトナムの病院に行った日本人が実感したこと


1.日本人は温室育ちか

女医さんが言うことには、私がかかったのと同じ症状で、
日本人がたくさん病院に来るそうです。

「なんでこんなに日本人ばっかりなの?」と病院のスタッフが不思議に思うくらいには。

「日本人だから弱い」という訳ではなく、
単純に見知らぬ土地の環境に慣れないから、体に不調が出やすいだけなのかもしれません。


でも、思うのです。

水は清潔で、食べ物の安心・安全にも細心の注意が払われ、
いわば無菌状態で育てられる日本人

一方で、水や食べ物など、不確実な生活環境の中で、
たくましくしたたかに生き抜くベトナム人


同じ人間とはいえ、日本人はベトナム人に比べ、

「人間」という生き物として、
自然の不確実な環境の中で生き抜く免疫力を、失いつつあるのかもしれません。

2.病院でも自己責任

私の個人的な所感ですが、
ベトナムの病院は日本の病院よりも、「サービス」色が弱いような気がします。

日本の病院は優秀です。

受付で名前を告げれば、診察から薬の受け取り、次回通院の予約まで
流れるように進んでいきます。

ベトナムの病院でも基本的な流れは変わらないのですが、
ところどころ、気付けば30分放置されていたり、薬は自己申告しないともらえなかったり、
ドクターと個別で自分から予約を取らなければならなかったり、
ちょっと面倒なことが多いです。


特に、「自己責任」を感じたのは、
看護師さんに処置をミスされたときの対応でした。


ある日、ドクターの指示を知らなかった看護師が処置を間違えたらしく、
痛みが強く、傷口からまた血が出てしまいました。

そのあとやってきたドクターがびっくりして、何やらベトナム語で早口でまくしたてています。
当然、全く意味は分かりませんが。。。


ドクターが言うことには、

「もし、処置が間違っていると思ったら、自分で正しい処置の仕方を伝えるように

ということでした。

ここで、
「なんだ!医師として看護師に伝えておけよ!患者に対して不親切な!」
と怒ることもできたと思います。

ただ、私はドクターの言うことにも一理あるなと思っていました。
日本流の「サービス」を求めることは、時に過保護だと思います。


例え専門家でなくとも、自分の体の状態がどうで、
どういう治療を受ける必要があるのか、
私たちは知っておくべきです。

日本では、医療水準の高さ、患者へのサービスの充実性から、
医療のことは医療の専門家に「任せてしまおう」、と
自分で考えることをやめてしまっているように感じます。

任せてしまうことは、とても楽です。

しかし、同時にリスクであると思います。

「医者の言うことだから正しい」と妄信してしまい、
結果、自分にとって良くない結果を引き起こすかもしれません。


分からないなりにも、自分なりのセンサーを働かせて、

「自分の身は自分で守る」

という意識を持つことが、本来は大切なのではないでしょうか。


ちなみに:病院前のKIM MA通り

ベトナム人ですら辟易するような交通量の中を、信号なしで渡る。
病院に着く前に大怪我しそう...。
既にここでも、危機センサーを試されています。

3. 保険は大事

海外での医療費は高いと言いますが、
やっぱりベトナムでも、外資系の病院の医療費は高いです。

ある日の支払額を見てびっくり。

医師の診察+採血+点滴+ガーゼの交換で、

500万ドン。

日本円で2万5千円を超えています。

たった一回の治療で。

これが何日も続くので、今回の一連の通院でトータルは10万円くらいになるのでしょうか...。

私は、持っていたクレジットカードの付帯保険で、
キャッシュレスで通院することができています。

しかし、これを支払うとなると怖ろしい...。

実は、この症状にかかるまで、

「半年だし、保険なんてなくてもなんとかなるでしょ!」

と思っていました。

今思えば、それはとんだ間違いです。

1度、何かが起こっただけで、
簡単に、保険に出し渋った掛け金以上の金額の請求が来ることが多いにありえます。

そして、なにより実感したのは、
保険のあるなしで、「病院で診てもらおう」というモチベーションが変わってくること。


体に不調があるときは、早期発見早期治療が一番効果的です。

しかし、
保険がない場合、
「不安だけど、お金を払ってまでして診てもらわなくても、まあいっか...。」と
億劫に思ってしまいがちです。

それが、更に悪い結果を生みます。


保険は元をとることで価値が生まれるものではなく、

「安心を買う」という意味で価値があるものだと思うようになりました。


当たり前のようですが、海外に行くときには、いざという時のために、
何か心のよりどころとなる保険に加入しておくことを強くお勧めします。

(※保険のセールスではありません。)


おわりに


異国の地に住むことは、不安です。

ましてや、医療の安心度が日本よりも低い国にいると、

体の不調はダイレクトに、生活の全てに影響してきます。

私の場合は大したことありませんでしたが、

これがよりひどい病気となると、なおさらです。



日ごろの健康の大切さと、

海外にチャレンジする人にとって、

医療の面でバックアップする仕組みがあることがいかに大切か、

実感ができた貴重な経験でした。


では!

---(病院体験記、おわり)---






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